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3)荒川を利用する外貿コンテナ輸送構想
荒川の中上流域は埼玉県に含まれるが、埼玉県はいわゆる「海なし県」であり、荒川に河川港を設置し、それを利用して貿易貨物の輸送を行いたいという意向を有していた。また、東京湾内の東京港や千葉港と荒川沿岸地域間の貨物の陸上輸送は車両が東京都心部を通過するため、慢性化している首都高速の渋滞や排ガスによる大気汚染などの問題点が生じている。これらの貨物輸送を荒川利用へシフトできれば先のような問題点の解消も可能になると考えられる。しかし、荒川河口と荒川流域地域との輸送距離は30〜40?と短く、横もちトラックの費用と水陸結節点での荷役コストのウエイトが大きくなり、船舶輪送のもたらす大量輸送によるコスト低減のメリットが減殺されやすい。
現在では、荷役コストや横もちトラックコストがほとんど不要な石油製品が主な輸送品目になっているのも、このような事情があるためと考えられる。さらに石油製品のような危険物の都心部通過についてのさまざまな規制を、荒川利用によって受けなくてすむという点も石油製品が河川利用ヘシフトした理由と考えられる。
一方、外貿コンテナの荒川利用については「我が国における近代運河の実現可能性に関する基礎調査報告書」の中で検討されている。その構想のあらましを以下に示す。

表5−7 荒川利用の外貿コンテナ輸送構想

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